規模の経済性を考慮した生産性の地域別推移と地域間格差の同時分析: 韓国稲作の事例

摘要

近藤，山本、愼[3]は，韓国稲作生産性の地域 別推移について分析を試みた.しかしながら，近藤、 山本、愼[3]の分析は，韓国稲作生産性水準の時 系列変化だけに留まっており，稲作生産性水準の地 域間格差の解明までに至っていなかつた.生産性水 準の時系列変化にくわえ，生産性水準の地域間格差 を同時に分析するには，生産性比較の循環性（circu-lality)という理論的な論点への配慮が必要となる (Caves, Chnstensen and Diewert [1],山本[9」). 多数地域間、多数時点間で生産性を同時に比較分析 する場合，どの地域、どの時点を基準としても，生 産性指数の相対的関係が不変であれば，循環性を満 たすと判断される.しかし，近藤、山本、愼[3] が分析した生産性指数は，この循環性を有していな かった.この問題を解決するため，近藤、山本*愼 [4]は，循環性を有する生産性指数を適用して，生 産性の時系列変化と生産性水準の地域間格差を同時 に分析した.