抗血清を用いない犬用混合ワクチン中の犬アデノウイルス及び犬パラインフルエンザウイルスのウイルス含有量試験

摘要

犬用生ワクチンウイルスのうち、犬アデノウイルス2型及び犬パラインフルエンザウイルスのウイルス含有量試験は一般的にMDCK細胞を用いて行う。 また、混合ワクチンの場合、測定対象のウイルス以外の生ワクチン株を予め抗血清で中和しておく必要がある。 その目的で使用される高力価の抗血清を作成することは容易ではない。しかし、この2種のウイルスを測定する指標としてCPE以外を用いることにより、中和せずに同時にこれら2種類のウイルスを測定する試験方法を犬用5種または7種混合生ワクチンを用いて検討した。 犬パラインフルエンザウイルスは、モルモット血球に対する赤血球凝集（HA）性があるため、培養上浦を用いたHA反応及び感染細胞を用いた赤血球吸着反応により、細胞の感染の有無を確認することができる。 一方、CPE発現が必ずしも一様でない各犬アデノウイルス2型ワクチンウイルスについては、対応するモノクローナル抗体を用いて、接種細胞の間接イムノベルオキシダーゼ法による測定を行うことにより、感染の有無が確認できた。 また、混合ワクチン中のこれらのワクチンウイルスは、相互に干渉することなく増殖することが知られていることから、これらの測定法を利用することにより、作成が容易でない各高度特異免疫血清を用いなくとも、的確に両ウイルス量を測定することができるようになった。