中国蚕糸業の動向と日本への対応

摘要

現在、中国の繭生産量は世界の総生産量の約七〇％を占めており、生糸類の貿易では世界の貿易量の八〇％、絹織物ではその四〇％を占めている。 つまり中国は世界のシルク市場に最も大きな影響を与える立場にあり、同時に世界のシルク市況の影響を最も大きく受ける国である。 一方、商と生糸の生産量が急減する日本は、国内需要とその消費への対応のために、繭、生糸の輸入を余儀なくされており、一九九七年度には、中国から乾繭で約一、〇五〇（輸出量の八一％）、生糸で約一、二〇〇（同一四％）、正絹織物で約一、〇〇〇万（同七％）を輸入した。 要するに、中国蚕糸業の変動が日本の絹業とシルク消費に影響を持っており、逆に日本の生糸需要と絹織物消費の変動が中国の蚕糸業に影響を与えている。 つまり、中日両国の蚕糸業の関係はますます密接不可分の関係を強めている。