隔年交互結実による「清見」の完熟生産技術

摘要

佐賀県における中晚カンの現状として、「不知火」の栽培面積が最も多いが、「清見」も栽培面積は施設および露地ともに減少傾向にあるものの販売上重要な位置づけにある。「不知火」の栽培現場では、特に露地栽培において収量の低下や果実の減酸不良といつた問題も生じており、また、流通面でも全国的に栽培面積が増えている状況のなかで、産地では出荷時期が集中することによる価格の低下などの危険性もあげられている。一方、露地栽培の「清見」は、現状では寒害を避けるために厳冬期前に収穫して狞蔵後の3月以降に出荷されるため、食味に課題を残すことも多い。しかしながら、「清見」を4月頃の発芽期以降まで樹上で完熟させると食味が大きく向上することが知られており、完熟化することで4月以降に出荷できる新しいカンキッ商材として期待される。しかし、完熟化すると隔年結果の助長などの問題が生じやすいことから、これまで「清見」の完熟生産には取り組まれてこなかつた。