京都府北部の農村地域を対象とした 地域資源管理への参加に対する関連因子の分析: ボンディング型とブリッジング型のソーシャル,キヤビタルに着目して

摘要

近年，農村地域では都市化に伴い農家数が減少すると 共に，混住化や兼業化の進行により農家が点在化し，農 村の封鎖性力,、激に解体している。また，高齢化や過疎 化に伴い，農業用排水路や農道等，地域の共有資源の適 切な維持管理が困難となっている。このような中，近年 地域資源の維持管理を規定するソフト面の要因に対して 多くの注目が集められている。このような背景の下，農林水産省は平成18年度から 「農村社会におけるソーシャル,キヤピタル研究会」を 立ち上げた。ソーシャル'キヤビタル（以下，SC)と は，パットナムの一連の研究が大きな契機となり，90 年代後半から研究者の強い関心を集めることとなった， 集団や地域に保有される社会関係を表す概念である。そ して平成19年度には，農村地域の資源および環境の保 全とその質的向上を目的として，「農地,水,環境保全 向上対策」が導入された。この対策は，地域住民全体の 参加による地域資源の維持管理体制の構築が必要とされ ている中，非農家も含めた地域ぐるみの共同活動への住 民参加を支援するという特徴を持っている。また，松下 (2009)は，向上対策は地域一体型の地域活性化政策で もあり，SCの蓄積を視野に入れた政策とも言えると述 ベている"。