培養液の量的管理法を用いた養液栽培における ホウレンソゥの栽培中に完全に吸収される 硝酸態窒素，リン，およびカリウムの施用量

摘要

従来の養液栽培の培養液管理法としては，電気伝導度（EC)によって培養液濃度を一定に保つEC管理法が一般 的であるが，EC管理法では培養液を比較的高濃度に設定することが多く.栽培期間中および栽培終了時に，培養液中に 残存する多量の無機成分を施設外に排出することが問題視されている.これに対して近年，無機成分を栽培に必要とされ る量だけ施用する量的管理法という方法が注目されている.量的管理法では過剰な施肥を行わないため，排液中の無機成 分量を削減することができる.そこで本研究では量的管理法によるホウレンソゥ水耕栽培において，施用した硝酸態窒素 (N03~-),リン（P)，およびカリウム（K)をすベてホウレンソゥに吸収させることを目的として，必要とされるNOf施 用量に対してPおよびKをどれだけ施用するのが適切か調査した.その結果，NO:r 400 mg/plant (N 90.4 mg/plant)に対 してP10 mg/plantとK150 mg/plantを施用するとNO.f, P ，およびKをすべてホウレンソゥに吸収させられることが明ら かになつた.またKが不足するとNa吸収量が増加する現象がみられ，ホウレンソゥではK不足時にNaがKの働きを補うこ とが示唆された.一方，Pが不足するとNOf吸収量が減少したことから，P不足時にはNO: 「吸収が抑制されることが示唆 された.