棚田を対象とする農地利用予測シミュレーション－土地利用計画策定のために－

摘要

中山間地域等に対する直接支払制度が2000年度より実施され，農地の適切な維持，管理に果たす効果，および多面的機能の発揮が期待されている。 しかしながら，中山間地域では今後もさらに農地利用の後退が進むものと予想される。 中山間地域の農地保全に対して，「保全すべき農地」の特定と「耕境外」農地の「計画的撤退」について論じているものに，安藤，遠藤がある。 例えば，安藤は，ほ場整備の必要性に触れて，住民自らが生活を続けていく上でどこまで農地を保全しなければならないかを考え，それを積みあげた地域計画，土地利用計画の中にほ場整備を位置づけることが必要であると述べている。筆者は，農地保全を実現するためには，こうした土地利用計画の策定に加え，和田が指摘しているように，その計画に実効性が担保される必要があると考える。