鉄道が廃止された後の地域住民の意識に関する一考察: のと鉄道能登線廃止におけるケーススタディ

摘要

農村地域においては，人口規模が小さいことなどから 公共交通利用者がきわめて少なく，公共交通の運行や維 持に関わる費用を利用者から徴収する運賃収入のみでは 賄いきれない地域が少なくない。そのため，多くの地域 で鉄道や路線バスが廃止に至っている。このような地域 で基幹となる公共交通が廃止されると，自動車を利用で きない人にとっては，生活することが困難となる可能性 があるだけでなく，より自動車に頼らざるを得ない状況 となる。一方で，鉄道が廃止された場合，地図から鉄道 路線が消滅することになるだけでなく ，地域の拠点とし て機能していた鉄道駅を失うことになり，地域の活気が 失われる可能性がある。また，多くの場合，従来あった 公共交通システムに変わって，代替となる公共交通シス テムが運行を開始する。鉄道が廃止された際には，バス 交通の運行が開始されることが多い。そして，新たに運 行を開始した代替えとなるバス交通の利用者数は，廃止 前の鉄道の利用者数と比較して減少するケースが多いこ とは多くの研究成果等たとえば'n'2)で明らかにされている。