タイにおける「足るを知る経済」思想に基づいた農村開発事業

摘要

タィ東北地方では1960年代以降商品作物の栽培を拡大 するために森林が開墾され，以前の自然資源に依存した 自給自足の状態から急速な貨幣経済の浸透による大きな 社会変動を経験した。その東北地方を中心に，1970年代 より仏教僧を中心とする村落再建運動や，篤農家と NGOが加わっての仏教の教えに基づく新しい農村開発 が起こった。仏教的な開発と実践を仏教用語で「開発」 と呼び，自然、人、社会の本来のあり方に目覚め，内な る「心の開発」をもんだ社会の「内発的，自立的な人 間開発」を目指すものである。従来の西洋近代をモデル にした「外発的'他律的な経済中心の開発」からのパラ ダイム転換であるとされる。