『新しい里山再生法 －市民参加型の提案－』

摘要

著者の重松氏は，豊山の相生管理に関する研究を長年積み上げられている研究者であり，全国での男山管理の活動に精力的に関わっている里山管理の実践家である。 本書は，重松氏の幼年時代の原風景へのエビロ1－グにはじまり，研究者として歩み始めた頃，そして現在までの体験記を『豊山管理』という糸で，丹念に織りなされた一冊である。重松氏が大切に想う豊山の姿を研究蓄積によって植物生態学的に浮き彫りした科学書であり，市民参加による男山の再生を実践するための基礎的な知識を培うことができる手引き書となっている。また，本書の中で，重松氏は，『望山でナチュラル、ブレイク』を提案する。これは，男山管理への参加と共同作業が，暮らしの楽しみになるであろうとする姿勢を示したもので，本書は，豊山管理の技術的手引書にとどまらず，これからの人々の暮らし方の一つの道しるべを示唆している。運山に関わる専門家，望山管理の主催者、参加者，そして，いま望山に興味を持ち始めた人々まで，広く紹介できる一冊である。