新素材の重層培地を用いた ウィルスのブラック法の検討および最近の ゥマインフルエンザの流行状況

摘要

血球凝集抑制（HI)試験は、インフルェン ザウィルスに対する抗体価を測定する血清学 的診断法の一つである。その長所として、HI 抗体価は感染の防御レベルを直接的に表す中 和抗体価と良好な相関を示すことや、手技が 簡便で多検体処理が可能なことがあげられる。 一方、中和抗体はHI抗体よりも高い特異性お よび感度を有するものの、測定手技が複雑で あり多検体処理が困難であるという欠点を有 している。以上のことから、インフルエンザ ウィルスの検査にはHI試験が繁用されている。 しかし、HI抗体価はウィルスのへマグルチ二 ン（HA)の性状の変化により測定不能にな ることや、一部の亜型のウィルス（例:H5N1) では、感度が非常に低いなどの欠点を有して いる。このことから、簡便な中和試験法の開 発が望まれる。留学先である英国のNational Institute for Medical Researchでは新素材（ァ ビセル，Avicel)を重層培地に使用したブラ ック法、および同法を応用した中和試験法が 開発されている。アビセルは、その比重に対 して粘ちよう性が低く 96ゥヱルプレートに重 層することが可能であり、多検体処理に向い た長所を有している。