ローズゼラニウムの組織培養による精油生産

摘要

ローズゼラニウムの組織培養による精油生産のための基礎的な実験を行った．培養に用いる部位は成業を着生させた葉柄が緑色の大きなカルスを形成し，またシュートも出現させたことからもっとも適していると判断した.この際，培地に加える植物成長調節物質はNAAとBAの濃度が同じ，あるいほBAを高くした培地を用いて照明下で培養することが有効であった.　 また，培地に加える糖の量によりシュートを形成させたりカルスの状態を維持できる可能性が認められた．NAA0.1ppm，BA1.0ppm，シュクロース1％を含む培地上に形成されたシュートには，母株成業と同様の精油分泌組織が形成され，また精油成分も成案とほぼ同様の種類が検出された．一方，NAA 0.1ppmあるいは1．0ppmとBA1.0ppmを組み合わせ，シュタロース濃度を3％に上昇させた培地に形成されたカルスの細胞内部には油滴の存在が確認され，また精油成分の中にゲラ二オールを含んでいることがわかり，カルスの増殖による精油生産の可能性が見出された．