競走馬のコンディション評価における調教時心拍数および調教後血中乳酸値測定の有用性の検討

摘要

競走馬のコンディション評価において、血液検査、超音波検査、Ⅹ線検査などは客観性に優れ、主に病的な状態を把接するために使用されている。 しかしながら、これらの検査法を用いて、健康的な競走馬のコンディションを評価することはほとんど不可能であり、視診，聴診，触診などを中心として行われている。 このため健康的な競走馬におけるコンディションの評価は、長年の経験に基づく主観に負うところが大きいのが現状である。 過去にも馬において、より客観的なトレーニング効果の評価を目指し、心拍数や乳酸備について調べた報告が存在する。しかしながら、コンディションの変化を捉えるこ－とを主眼とし、1頭の現役競走馬を継続的に検討した例は見あたらない。 今回我々は現役競走馬を用いて、調教時心拍数および調教後血中乳酸借を定期的に測定し、それらが馬の客観的なフンデイション評価に有用であるかどうか、また、競走成績や厩舎関係者の主観的評価を反映した変化を示すかどうかを検討した。