ダウナー牛にみられた重度の膝関節靭帯の損傷(前十字靭帯, 内側側副靭帯，第三腓骨筋の断裂）

摘要

分娩後，乳熱、ダウナー牛症候群となり，1週間治療を受けたが，起立できず予後不良として淘汰された9歳のホルスタイン種乳牛が本学に搬入された。 一般臨床検査では，T38.9，P84，R24で，中等度の脱水が認められ，食欲もわずかであった。 左膝の軽度の腰脹が認められ，左後肢を備に引き寄せることができなかつた（写真-1）。 大腿脛関節を内転させる受動運動によって捻髪音が認められた。 膝を屈曲させたⅩ緑検査では頚骨の大腿骨に対する前方への引き出し（ドローワーサイン）および大腿骨顆と脛骨近位関節面後方の異常な接触とその後方に骨折片が見られ，前十字靭帯の断裂が診断された（写真-2）。 また，膝の異常な列側への可動が認められ（写真-3）内側側副靭帯の損傷が疑われた。さらに，膝を屈曲させたまま飛節を伸長させることができ，この時，下腿後面皮膚にえくぼのよ。 うに蜜が形成され，第三腓骨筋の断裂の存在が診断された（写真-4）。