ヒートストレスについて考える3

摘要

3回目もStaplesとHall（Florida大学）の「乳牛のヒートストレスに立ち向かうための栄養とマネージメント戦略（原題：Nutritional and Management Strategies to Combat Heat Stress of Dairy Cows）」をもとに，蛋白質，脂肪，ミネラル，ビタミンなど栄養学的観点からヒートストレスをコントロールすることについて考えてみたい。 ヒートストレス下では，DMIが低下するので，飼料中の粗蛋白質（CP）濃度を上昇させ，窒素の摂取量を維持する必要がある。 1975年にLouisianaの高温多湿下で行われた試験では，アルファルファ主体の飼料において，大豆ミールによりCPを14.3％から20.8％に上昇させた結果，乾物摂取量（14 vs 15.5kg）と泌乳量（17.8 vs 19kg）の増加が認められたと報告している。しかしながら，蛋白質，特にルーメン分解性蛋白質（DIP）の給与量が多すぎると，アミノ酸の脱アミノ作用により生じた過剰のアンモニァを解毒のために肝臓で尿素に変換するエネルギーが必要となる。 その結果，泌乳エネルギーとして使われるべき代謝エネルギーが減少してしま．うだけでなく，肝月蔵からは解毒過程で体温を上昇させるに十分な熱量が発生し，ヒートストレス下の乳牛の状態をさらに悪化させる可能性が生じる。