米国の馬臨床獣医師が現在用いている関節の治療法(2009年の調査）：前編

摘要

関節障害は最もよく認められる馬の 疾,患のひとつであるが，どのような治 療法が臨床現場で用いられているのか に関する報告はこれまでなかった。今回，米国馬臨床獣医師会(AAEP)の 全会M 〔6,305名）に電子メールに より関節療法に関する質問状を送り， その結果を報告した文献が出た。そこ で曰本の馬臨床獣医師の方々も，この 結果には特に興味を持たれるのではと 考え，今回と次回に分けて，文献の内 容の詳細を紹介することにした。馬の関節疾患は，競技用馬を苦しめ 続け，競技用馬としての機能を消失さ せてしまう疾患である。滑膜炎ならび に関節包炎は骨関節炎を誘発するのが 通例であり，この骨関節炎が慢性化す ることにより，競技用馬としての生涯 が終わつてしまう可能性がある。急性 ならびに慢性の滑膜炎および関節包炎 は，通常，薬剤の関節内注入療法によ り治療されている。種々の関節内注入 薬剤が市場には流通しており，症状お よび疾患の緩和効果を目的として用い られている。