羊膜嚢を持し，胎齢を診る

摘要

酪農現場で胎齢診断は常に必要です。雄牛を放している 場合はもちろんですが，人工授精でも記録の抜けや間違い があり得ます。記録が正確であったとしても，すでに妊娠 している牛の擬似的な発情に授精している場合もあります。時折みられるのは，40日の妊娠鑑定を依頼されたのに 60日で受胎しているパターンで，これは妊娠20日目に授精 が行われたということです。胎齢違いを指摘することで， 乾乳時期のずれによる生産性の低下を防ぐことができま す。特に乾乳期間を45日程度に短縮した牛で一周期（21日） ずれると，乾乳が24日しか取れなくなって，次乳期の生産 性が大きく低下してしまうばかりカゝ，産後疾病のリスクも 高まります。妊娠鑑定を依頼されたら，ただ妊否を鑑定するだけでな く，常に妊娠"診断"を行い，妊娠日齢に間違いがあれば 指摘して，正しい分娩予定日、乾乳予定日をお伝えしたい ものです。60日と40日は大きく違うので（図—1)，子宮反 転と羊膜嚢触診ができれば，この違いを指摘するのは難し くありません。