外傷治療に開放性湿潤療法を用いて治癒した牛の5症例

摘要

1962年，英国の動物学者Winterは豚の実験から，ポリエチレンフィルムで被覆した表皮創の上皮化率が，乾燥した癖皮下のそれと比べ2倍であることを示した。湿潤環境がより早い創傷治癒の重要な因子となること示して以来，湿潤環境が治癒促進作用を持つことが明らかとなった。しかし湿潤環境を保持しつつ，健常な皮膚に対して障害性が働かないよう通気性を維持したドレッシング材の開発が困難だったため，乾燥理論に基づいたガーゼドレッシングが創傷管理に用いられてきた。