乾乳期間中および分娩後の乳牛に対するCa剤とDFAIIIの給与が分娩前後の血中Ca濃度に与える影響

摘要

これまで2回にわたり，乾乳後期に低カルシウム（Ca）濃度配合飼料にDFA（Difructose Anhydride；2－フラクトース無水物）IIIを添加して，分娩後の血中Ca濃度の推移と周産期疾病の発症状況を観察，検討してきた。 第1回（本誌10月号）では，今まで多くの酪農家で行われてきた低Ca血症予防方法である，乾乳後期に低Ca濃度配合飼料を給与する方法で，配合飼料にDFAⅢを添加した場合と添加しかい場合に分け，添加しない場合は産歴が増加するにしたがって分娩直後の血中Ca濃度は低下し，その予防効果が疑わしく，DFAⅢを添加すればその傾向がみられないことを紹介した。 また，DFAⅢを添加していた群の方が分娩時血中Ca濃度は有意に高い値を示し，その後の回復も早いことを報告した。第2回（本誌11月号）では，4戸の酪農家の協力を得て，同じく乾乳後期に乾乳期用低Ca濃度配合飼料にDFAⅢを添加して給与した場合，DFAⅢ添加配合飼科を給与していなかった前年よりも分娩時から分娩後7日までの周産期疾病の発生が激減したことを紹介した。