カナダにおける豚サーコウイルス疾患その経緯と現状（前編）

摘要

生命は変化するものである。離乳後多臓器性発育不良症候群（PMWS）やほかの豚サーコ関連疾患（PCVD）のような新興疾患は，分子レベルにおいて常に変化している好例である。生命のかたちというものが特異な蛋白コード遺伝子の暗号を保持する自己完結型として広く定義されるなら，ウイルスは十分その資格を有しているといえる。 ほかのすべての命のかたちと同じように，ウイルスは常に時間とともに変化している。実際，ウイルスは自分の宿主よりも一般的にかなり速く変化している。サーコウイルスは，独自の複製方式をとる環状一本鎖DNAウイルスグループの一員であり，知られたもののなかでは最も単純な命のかたちである。 しかしながら，特に豚の観点からみると，その単純さは深刻な意味とは明らかに矛盾している。