ベンチマーキングからたてる繁殖戦略－どこに着目するか－

摘要

「豚の繁殖学」の原稿依頼を受けたときに簡単に了承してしまったことを，この原稿を書くに当たって大変後悔している。なぜなら日本の養豚生産において指標となる，日本版の“ベンチマーキング”と呼べるものがないからである。 そもそも“ベンチマーキング”とはいったい何なのだろうか？ Bench mark（ベンチマーク）を直訳すれば，基準，水準という意味になる。養豚生産の現場で使われているBench marking（ベンチマーキング）とは，自分の養豚場の成績が，業界のなかで，標準値と目標値の問のどの位置，順位であるかを数字で捕らえるということである。 養豚の生産技術は常に進歩を遂げており，それに伴い生産成績も向上してくる。 農場の成績が前年と比較して向上しているのか，安定しているのか，もしくは後退傾向にあるのか。 日本の養豚業界のなかにあって自分の農場の成績がどのような状況で，どの位置にあるのか。 ひいては世界の養豚のなかにおいてはどうなのか。 これらに関しての情報を知り，自分の農場の成績と比較し，向上させるために，ベンチマーキングは必要不可欠なものになる。