希少樹種ハナノキを対象とした保全単位の設定

摘要

ノヽナノキ(Acerpycnanthum K. Koch写真一1)は日本固有の力ェデの一種で，本州中部地方の特異な低湿地に自生する絶滅危 (vu)である。「花の木」 という名は，春に深紅の花を咲かせ，秋には鮮やかに 紅葉する卓越した華やかさに由来する。莉重は希少かつ美しレ4封木であることから本地域における湿地保全 の象であり，地±或住民による自生地の保護や個体 の増殖.植栽力行われている。しかし，莉重について 分布域を網羅した遺伝的な情報は把握されておらず， 地理的変異の程度やそれをふまえた保全、植栽活動の あり方について議論されることはなかった。そこでわたしは，首都大学東京の村上哲明博士とともに， 体DNAの情報を用いてハナノキの地理的な遺伝構造 を明らかにし，地域系統に配慮した保全、植栽活動を 行うための空間的ユニット（以下保全単位と呼ぶ）の設定を試みた。