ベノミル剤とDMI剤を混用したイネ種子消毒による本田のいもち病発病抑制効果

摘要

イネいもち病（病原菌Pyricularia grisea（Cooke）Saccardo）はイネ（Oryza Satiua L.）の種子伝染性病害であり，罷病種子の防除を徹底することは，本病を総合的に防除する上で非常に重要である。近年普及している長期残効型箱施薬剤の防除効果の不安定性やMBI－D剤（Scytalone Dehydratase Inhibitors of Melanin Biosynthesis）耐性菌の発生要因の一つとして，保菌種子の使用と不完全な種子消毒が指摘されており，種子での防除徹底の重要性が再認識されている（早坂，2000；宗ら，2004）。　種子消毒剤であるベノミル水和剤は，籾表面のみならず，玄米にまで感染したいもち病菌に対して高い殺菌効果を示し，苗いもちに対し高い効果を示す（早坂ら，2002；宗ら，2004；木村、小川，2005）。しかしながら，ベノミル耐性ばか苗病菌対策やベノミル剤では種子消毒後に風乾が必要なことから，現状ではベノミル剤よりもいもち病に対してやや効果が劣るものの，風乾の必要がなく，ばか苗痛に高い効果を示すDMI剤（Sterol demethylat ioninhibitors）が主に使用されている（北村ら，1982；稲田ら，1993）。