最近の鶏大腸菌症由来大腸菌分離株の病原性および細胞接着性

摘要

最近の鶏大腸菌症野外例由来の大腸菌株を用いた接種実験を行い，大腸菌株の病原性，ベロ毒素産生能および気管線毛への細胞接着性について病理組織学的に検索した。P2系およびLine-M系由来の1日齢ひな と3週齢ひなを7?10羽ずつ各7群を設定し，大腸菌KB8-1, KB10-1, KB2-1,C, KB13, D. B61株を大 腿部筋肉内にそれぞれ接種した。1日齢ひな接種群は全ての菌株において接種後2日以内に全て甚急性から 急性敗血症で死亡し，肉眼病変はほとんど認められなかったが，3週齢ひな接種群では菌株により死亡率， 病変の発現頻度が異なっていた。Y0451, Da2, KB4-1株の培養菌液の上清濾過液をべ口細胞に接種し，細 胞変性効果（CPE)の有無を観察したが，CPEはみられなかった。また，20日齢発育鶏卵から作製した気 管リングにY0451, Da2株の菌懸濁液を接種，3日齢ひな経気道感染群には噴霧接種して気管粘膜上皮細胞 の線毛への大腸菌の接着性を評価したところ，Da2株のみで線毛部分への接着が認められた。