3種類の市販Salmonella Enteritidis不活化ワクチン接種母鶏由来ひなにおける移行抗体

摘要

国内で市販されている3種類のSalmonella Enteritidis（SE）不満化ワクチン（油性アジエバントワクチンA，B，およひアルミニウムケルアジエバントワクチンC）接種母鶏由来ひなについて，ふ化後1週間の移行抗体の推移を検討し，ひなへのSE攻撃試験を実施した。 日齢の異なる同一緒柄の採卵鶏2母鶏群を用い，いずれもワクチンの最終接種日が同山となるよう，一方の群にはAを28，32週齢，Bを32週齢に肩部皮下，Cを28，32週齢に脚部筋肉内に接種，もう一方の群にはAを8，12週齢，Bを12週齢に肩部皮下接種した。 前出のA，B，Cワクチン接種母鶏群からワクチン最終接種1カ月後およひ2カ月後の2回と，後出のA，Bワクチン接種母鶏諜カゝらワクチン最終接種1年後の合計3回，種卵を採取し，これらの種卵よりふ化したひなを調査に供いこ。調査3回とも，ワクチンの種類によりひなを群分け（A，B，C群／1，2回目，A，B群／3回目，いずれも各群20羽）し，0～7日齢まで毎日採血してELISA値を測定した。 すへての調査において，各ワクチン接種母鶏由来ひな群の平均移行抗体価は2～4日齢でピークを迎え，その後下降したか，ピーク時はすべて陽性値を示した。 また，ワクチン接種1，2カ月後の母鶏由来ひな群の平均移行抗体価は，0～7日齢までA群がB，C群より明らかに高い値で推移したが，接種1年後の母鶏由来ひなではA群とB群に差は認められなかった。 次に，移行抗体調査ひなと同一ふ化日の姉妹ひなおよひワクチン無接種母鶏由来ひな（対照群）を用いて攻撃試験を実施した。 試験Ⅰではワクチン接種1カ月後の母鶏由来ひな群とその対照群，試験Ⅱではワクチン接種2カ月後の母鶏由来ひな群とその対照群，およびA，Bワクチン接種1年後の母鶏由来ひな群（20羽／各群）に，リファンピシン耐性SE－ZK2ax株102cFU／0．2ml／羽を経口接種した。 また，3種類のワクチン接種採卵母鶏群と同一処理をした日齢の異なるフロイラー2母鶏群由来ひなを用いて，前述と同様の攻撃試験を2回（Ⅲ，Ⅳ）実施した。 試験Ⅰ，Ⅱ，Ⅲにおいて，盲腸内容物からのSE分離菌数は，ワクチン接種母鶏由来ひな群が対照群より有意に低いが，感染菌量をはるかに上回る値を示した。 また，ワクチン接種母鶏由来ひな群での盲腸内容物と肝臓からの分離菌数は，採卵鶏ではA群がB，C群より低い値を示したが，ブロイラーでは同様の傾向は認められなかった。 SE不満化ワクチン免疫母鶏由来ひなへの移行抗体は長期にわたり付与されるが，排菌抑制効果は終始僅少であった。