高度負荷土壤での植物の生存戰略根圏複合系の中で根面細菌が果たす機能

摘要

強酸性土壌や茸栄登土壌に生育することができる植物の根面や横糸には，窒素固定能やリン酸可溶化能などの機能をもつ根定着性の細菌群集が棲息している．これらの機能性着生細菌群集の多くは，根の機能を撹乱するような暴走的増殖を起こさないように，植物の根によってその挙動が統制され，機能性が生物合理的に発揮されている．ここでは，近年明らかになってきたこれら植物の根系に着生する細菌の機能と役割，および宿主植物によるそれら細菌群集制御の仕組みについて紹介する．根そのものを含めた根圏の生命複合体（根圏複合系）が，根圏という微環境を根の活動に有利なものに改変し，維持し続けるための微環境恒常性を示すという考えに立脚した，それを制御する技術の重要性が認識されつつある．根圏の生命複合体（根圏複合系）を適切に統制し，制御する技術は，"21世紀の緑の革命"を担う未来の持続型農業や，植生改変を利用した土壌環境修復に適用できる技術に育つかもしれない．