植物ウィルスの病徴発現における宿主RNAサイレンシングのかかわ:植物のウィルス病はどのよ5に起こるのか？

摘要

ウィルスが植物に感染すると，宿主細胞内でウィルスのゲノ ム（核酸）の増殖やタンパク質の合成が起こり，植物自身の 正常な代謝が阻害される.病徴の発現パターンは，宿主植物 と感染ウィルスの組み合わせに特異的であるが，温度や光な どの環境要因によって異なる場合もある.植物は抵抗性遺伝子とRNAサイレンシングを作動してウィルス感染を抑制し ようとするが，ウィルスはRNAサイレンシングサプレツ サー（RSS)によりこれらに対抗する.本稿では，病徴発現 における宿主とウィルスの相互作用に注目し，宿主の遺伝子 を偶然にターゲットにしたRNAサイレンシングが病徴発現 のメカニズムであった最近の研究例について紹介する.