ひな白痢急速診断用菌液を用いたSalmonella Enteritidis感染鶏の摘発と清浄化対策

摘要

約2万羽を飼養する低床開放鶏舎の採卵養鶏場で，鶏および鶏舎が Salmoweto Enteritidis (SE)に 広範囲に汚染されていることが判明し，清浄化に向けた対策を実施した。2007年12月のモニタリング 検査で，ひな白痢急速凝集反応に強く陽性を示し，寒天ゲル内沈降反応でも沈降線を形成する血清があ り，この個体を特定し剖検ならびに菌分離を行つた結果，主要臓器からSEを分離した。農場で全血急 速凝集反応を指標とし，飼養中の16鶏群すべてについて各鶏群8-550羽（計1,031羽）を検査したとこ ろ，14鵄群が陽性で，鶏群別の陽性率は2-54%であった。また，陽性鶏80羽をすベて剖検し，臓器か らのサルモネラ検索を試みた。同時に，鶏舎内通路の牽引スヮブ（DS) 20力所，塵埃6検体を検査した。 その結果，52羽（65%)とDS16力所，塵埃3検体よりSEを分離した。SE分離鶏群の淘汰，誘導換羽 の禁止，鶏舎の洗浄 . 消毒，オルソ剤による踏み込み消毒の徹底を指導した。しかし，経営上の理由か ら一斉には淘汰できず，鶏群毎に淘汰し，逆性石鹼で鶏舎を消毒，床に石灰乳を塗布した後にサルモネ ラワクチンを接種した大難を導入することを繰り返し，清浄化を図ることとなった。また，大雛導入前 にクロアカスヮブの採材と消毒後の鶏舎環境を拭き取り，清浄化を確認した。2008年12月までは拭き 取り検査でSEを分離していたが，以後は検出されていない。食鳥検査でも，2008年11月を最後にSE 分離の報告を受けていない。すべての鶏群が入れ替わった2010年2月，全鶏舎の床を拭き取つたがSE は検出されなかった。