ワクチン無接種ブロイラー鶏群の病原体浸潤状況調査Ⅱ．細菌およびウイルス分離成績からみた病原体の動き

摘要

大腸菌症が継続的に発生していたある大型ブロイラー農場でワクチン無接種鶏舎を設け，初生から出荷までの毎週，呼吸器症状を示した鶏を抽出し，細菌およびウイルス検査を実施した。 その時果，細菌検査では主に人腸菌が，ウイルス検査では7種のウイルスが分離された。 細菌検査では，別途報告した臨床症状や病理解剖所見の変化と相関して大腸菌の分離頻度と菌数が変化し，死廃鶏の多発した原因は人腸菌症であると考えられた。 ウイルス検査では試験期間中，気管、肺乳剤から伝染性気管支炎ウイルス（IBV），ニューカッスル病ウイルス（NDV），トリレオウイルス（ARV）および鶏アデノウイルス（FAV），直腸便乳剤からIBV，ARVおよびFAVが分離された。 抽出鶏の腎臓細胞の直接培養でほ，マレック柄ウイルス（MDV），鶏腎炎ウイルス（ANV），ARVおよびFAVが分離され，また，3～6週齢の抽出鶏のF嚢のプール乳剤からは，伝染性ファブリキウス重病ウイルス（IBDV）が分離された。 このぅち，IBDVは高病原性株ではなく，またNDVは強毒株ではないと考えられた。 また，2～4週齢で分離されたIBVは大腸菌症の誘因として重要な役割を果たしたことが推定された。