飼料米に適する専門品種①飼料米向け多収品種の特徴および特性について

摘要

日本の米の消費量は二〇〇七年を除き一貫して減少を続けており、食用稲品種を生産する水田の作付面積は一六三万診（二〇〇八年度）に減少し、全国で一〇〇万診以上の生産調整水田が存在する。また耕作放棄地も急速に拡大し、三八万診である。一方で、トウモロコシや牧草等の飼料は、国内の肉、卵、牛乳等の畜産物の消費の伸びにより長期的に需要が増大している。しかし、日本では家畜に与える飼料の大部分を輸入に頼り、畜産業全体では飼料自給率が二五％しかない。そのうち濃厚飼料の自給率はさらに低く一一％で、年間約二、四〇〇万の輸入量があり、この量は実に年間の日本の米の生産量の八〇〇万の三倍の量に相当する。これは、日本人の所得が向上し、穀物中心の食生活から肉、乳製品を中心とした食生活に変化してきたことがこの背景にある。