天然由来の保存性向上物質による柑橘果実腐敗防止への新しい取り組み

摘要

収積後の果菜腐敗対策は、主に収穫前に薬剤散布を行うことで対応している。しかし、現実には貯蔵中および出荷して消費者に届く間に多くの果実が腐敗し、収穫前の薬剤散布だけでは完全に防ぐことはなかなか難しい。 腐敗が著しく発生すると、減収につながるだけでなく、流通業着からのクレームも多くなり、産地のイメージダウンにつながる。 そのため、より効果の高い腐敗防止技術の開発が強く要望されている。 近年、冷蔵庫内に安全性の高い天然由束の保存性向上物質を置くことによって、食品の日持ち性を向上させる技術が実用化されている。 そこで、愛媛県立果掛試験場では柑橘に対して安全性の高い天然由来の保存性向上物質を利用した腐敗防止技術の開発を平成一〇年から取り組んでいる。 今回用いた天然由来の保存性向上物質は、日持ち性向上製剤毎度保持剤）として登録されているので、収穫後の果実に施用しても問題はない。 天然由来の保存性向上物質は、カラシから抽出したァリルイソテオシァネー下やヒノキから摘出したヒノキチオール等数多くあるが、本稿では市場で腐敗しやすいデコボンに対するアリルイソテオシアネートを用いた果実腐敗の防止効果を中心に紹介する。