高温で選抜育種した：ジマスの高温耐性特性と遺伝子発現の特徴を育種に応用するために

摘要

ニジマスOncorhynchus mykissをはじめとした養殖 対象種は陸上水槽や水域に固定された生け簀で飼育され るため，成長や生残に至適な水温帯に自由に移動するこ とができず，飼育用水や水域の温度に依存的である.特 に冷水性のサケ、マス類は水温の上昇が致命的となる. 地球温暖化が叫ばれるようになって久しい今日，水温上 昇への対応策の検討は急務である.宫崎県水産試験場は，高温耐性の形質をもったニジマ スの選抜と継代を1966年から長年にわたり繰り返して きた.この系統のニジマス（高温選抜系）の胚では，卵 割初期，胞胚期，神経胚期の50%致死温度(LT5G)が標 準的なニジマス（標準系）に比べて有意に高い(P< 0.05).