SSRマ—力—による栽培 および台木用リンゴ品種の 判別と親子鑑定

摘要

リンゴは日本において、カンキッに次ぎ一一番目に生産額の多い果樹である。現在、日本で栽培されている品種のうち、もっとも栽培面積の多いものは「ふじ」「つがる」「ジョナゴールド」「王林」であり、これら四品種で全体の約八〇％を占める。これらの品種のうち、「つがる」においては、昨今の気候変動に伴う高温の影響による着色不良の問題が明らかになり始めており、着色のよい品種への更新が求められつつある。また、「王林」や「陸奥」といつた品種が栽培面積を減らす一方、「シナノスィ—ト」や「トキ」といった新品種の栽培面積が徐々に増加している。こうした情勢の中、より高品質な新品種を求める要望に応えるために、(独)農研機構果樹研究所と各県の公設試験研究機関、さらには一部の篤農家の手によつて活発な交雑育種が行われている。その成果として、これまでに品種登録されたリンゴはニ一 八品種を数え、最近一〇年間では六六品種(海外からの出願を除いた数)が新たに登録されている。このような新たな有望品種の開発と登録は、海外からも注目を集める一方で、新品種の違法な流出などの権利侵害の恐れを抱えている。