静岡県の茶園におけるクワシロカイガラムシの土着天敵類の発生実態: 第1報 天敵の種類および寄生性天敵の種構成

摘要

クワシロカイガラムシPseudaulacaspis pentagona（Targioni）は，古くからチャの重要害虫として知られているが，静岡県の茶園では1994年頃から多発生が続いており，病害虫発生予察注意報が頻繁に発表され，常に警戒を要する発生状況になっている。 静岡県で本種の多発が続く原因としては，気象条件の変化，農薬の変遷，天敵の減少，薬剤感受性の低下，リサージュンス，施肥量の変化，せん枝頻度の増加など，様々な環境要因と人為的要因が考えられるが，現在のところ主要因ははっきりし七いない。 ただ，本種の密度変動に寄生蜂などの土着天敵類の活動が深く関与していることは従前から多くの研究者にょって指摘されており，すでにいくつかの現地茶園での成功事例があることから，土着天敵の保護による生物的防除が本種に対しても有効であることは明らかであろう。