農産物の機能性の研究,開発状況

摘要

日本人の平均寿命（零歳児の平均余命）は男子77．10歳，女子83．99歳と，どちらも世界最高の水準にある．これは日本が医療の先進国であり，また国民が自らの健康管理に力を入れているからでもあるが，それと並んで，あるいはそれ以上に，日本人の食生活が世界の手本とされるほど栄養のバランスがとれていることを見逃すことは出来ない．このように優れた食生活を特に「日本型食生活」と呼ぶことさえある．しかし，1980年代からの「飽食の時代」をへて，20世紀末には栄養バランスの変調や食生活の乱れから生活習慣病が増加するなど，健康への不安が広がってきた．ここに来て食品に対する消費者の関心は，栄養やおいしさ，鮮度，安全性といったことからさらに機能性，すなわち食品の持つ体調調整機能へと向かい始めている．機能性を売り物にする食品もすでに多数登場しており，この分野の先進国アメリカでは機能性食品業界が着実に市場を拡大している．