乳用牛における廃用の要因としての蹄病の意義に関する一考察

摘要

目的：北海道における廃用乳用牛の蹄の異常所見を調査し、乳用牛における蹄病防除のための基礎資料を提供すると共に、廃用ならびに起立不能の要因としての蹄病の意義を考察する。 方法：対象牛は、蹄病で廃用にされたG1群19頭、廃用の原因疾病に加えて蹄病の併発が認識されていたG2群10頭、起立不能による廃用ではあるが蹄病併発の認識がなかったG3群17頭の3群、計46頭である。 蹄の異常所見は、蹄底角質および蹄底真皮のそれぞれ定められた蹄底区分と判定基準に従ってスコア化した。廃用牛の病歴は担当診療所から提供を受けた。 結果：蹄の異常所見は、何れの群においても出現率が高く、かつ重度であった。 G1群およびG2群の全ての牛に潜在性蹄葉炎や蹄底潰瘍（含む穿孔）が認められた。 G3群では、17頭中全頭で潜在性蹄葉炎に加え、5頭で蹄底潰瘍（含む穿孔）が認められた。 考察：蹄病の認識がなかったG3群においてすら異常所見の出現率は高く、かつ重症化していた。 廃用の要因としての蹄病の意義は認識されている以上に極めて重要であると考えられる。