ポリマーァロイの分析評価技術

摘要

ポリマーァロイとは，複数のポリマーを混合させて， 複合化をすることにより，単一の成分では見られない性能を持ったブレンドポリマーのことである。ポリマーァ口ィは，主に耐衝撃性の向上を目的として研究開発されることが多く，ゴム粒子をポリスチレンマトリックス相中に分散させた系である耐衝撃性ポリスチレン(HIPS),ァクリロニトリル一ブタジエン-スチレン共重合体（ABS)などが代表的な例である。これらのポリマーァロイが耐衝撃性を得ることができるのは，局所的な応力集中によりエネルギーが与えられ，ゴム粒子界面付近のマトリックス樹脂相にボイド（微小な空孔）が発生するとともに，配向した高分子鎖がボイドの周りにできて（クレーズ），これが衝撃を吸収するためである。このクレーズが安定的にできることにより耐衝撃性が向上する1 )2)。このようなメカニズムを解明するためには，ボリマーァロイの機械的特性の測定，相互作用の解析，構造解析等の分析技術を駆使する必要がある。本稿では，エチレン/プロピレン/一酸化炭素（PK:ポリケトン）とポリアミド6 (PA)のポリマーァロイを用いたときの，これらの解析事例を紹介する。このPK/PA ポリマーァロイは，高い剛性と衝撃強度を有するものとして近年報告されたものである。このポリマーァロイは，吸湿することにより，衝撃強度が顕著に向上することが知られており3)4),ブレンド量比における耐衝撃性の向上の解析に加え，吸湿による本特性の向上の解析も合わせて紹介をする。