悪性グリオーマ治療における薬剤耐性機構の最近の知見-temozolomide耐性·分子標的薬·脳腫瘍幹細胞-

摘要

神経膠腫（glioma）は悪性脳腫瘍を代表する疾患であるが，近年の医学·医療機器の発展·進歩にもかかわらず，集学的治療による悪性gliomaの治療予後は依然極めて不良である。悪性glioma治療の柱の一つである化学療法は効果が不十分であることが多く，その原因として，脳に特異的な血液脳関門の存在により腫瘍組織への薬剤到達性が低く抑えられる点に加え，腫瘍細胞自体のもつ薬剤耐性の存在が重要な原因として考えられている。悪性脳腫瘍の中には，胚芽腫や悪性リンパ腫等薬剤感受性が高く，予後の延長が得られてきた腫瘍型も含まれるが，悪性glioInaでは薬剤耐性の機序の解明と対策が予後改善に向けての重要な課題である。