大腸癌化学療法におけるS-1/CPT-11とmFOLFOX6のアンケートによるQOL比較評価

摘要

進行大腸癌に対する化学療法は5-fluorouracil (5-FU)/Leucovorin (LV), oxaliplatin (OHP), irinotecan (CPT-11) の併用療法が標準である。経口抗癌剤S-1が開発され，S-1/CPT-11療法はFOLFIRIに匹敵すると報告された。持続点滴がないため，患者の利便性やQOLの向上が期待される。経口抗癌剤併用の化学療法を利便性やQOLから評価した報告は少ない。対象と方法:進行·再発大腸癌においてmFOLFOX6療法とS-1/CPT-11療法のランダム化比較臨床試験を受けた患者を対象とした。アンケートはEORTC QLQとFACT-G， FACT/GOG-Ntxから選択して，「移動の制限丄「病識と意欲丄「痛みとしびれ感丄「消化器症状丄「日常生活丄「利便性」の項目について5問ずつ，計30問行った。結果:患者背景，治療成績に差はなかつた。有害事象でgrade 4の症例はなかつた。mFOLFOX6で倦怠1例(grade 2)，末梢神経障害5例(grade 1，2)を認めた。S-1,/CPT-11で下痢1例（grades)を認めた。アンケート結果で，「移動の制限丄「病識と意欲丄「消化器症状丄「日常生活」は雨群間で差はなかった。「痛みとしびれ感」はmFOLFOX群で全体的に認められ，S-l/CPT-11群が有意に良好で，「利便性」もS-1/CPT-11群で有意に良好であった。結論:アンケートによるQOLの評価は有用であった。S-1などの経ロフツ化ピリミジンを用いた治療は奏効率で差がなく， QOLの観点から患者にとって好ましいと考えられた。