山口県における障害児の学校での医療的ケアの実態 病院基盤調査,保護者アンケートによる検討

摘要

在宅医療の進歩により,医療的ケア必要児が学校に就学する機会が増加している。 医師法との絡みで,その実施に当たり学校現場で明確な指針がなく混乱が生じている。 山口県では有志による「学校での医療的ケアを考える会」を結成し,医療的ケア推進に向け活動している。手始めに県内の実態を把握するために,医療施設を基盤とし医療的ケアを必要とする児のプロフイ?-ルと医療的ケアの内容についてアンケート調査した。山口県内に医療的ケアを必要とする児74人が存在することが明らかになった。 年齢分布は就学前が32人と最も多かった。 対象児は寝たきり,言葉のない者が7割と重度の障害児が多かった。必要な医療的ケアの内容は,呼吸管理が53件,栄養補給が49件,導尿9件。 就学状況については養護学校が19人だが,普通学級に在籍する者も3人存在した。 保護者への二次調査では,学校での医療的ケアの実施者は1/2が保護者であり, 1/3では必要なケアが学校では行われていなかった。 担任による医療的ケア実施は12件中2件のみだった。