果樹の生理③果粒軟化期

摘要

ブドウの果粒は二重S字型（ダブルシグモィド）曲線を描いて成長し，その過程は発育の様相から第1期，第2期および第3期に分 けられます。第2期から第3期に移行する時 期は果粒軟化期と呼ばれ，これ以降果粒が軟 らかくなるとともに，外観的，成分的に極め. て大きな変化を示します。へブドウの果粒は，モモ，ウメ，スモモなどの核果類ゃカキなどと同じように二重S字型曲線を描いて成熟に至ります。その過程は三 つに分けられ，着果後数週間の活発に成長す る時期を第1期，その後の一時的な停滞期を第2期（硬核期ともいう），そして再び旺盛 に成長して成熟に至る時期を第3期といいます（図1)。無核果（種なし果）には明瞭な第2期がみられないことから，第2期は種子 力s硬化して胚が旺盛に成長するため果肉と種 子との養分競合によつて成長が停滞すると考 えられていました。ところ力气ジベレリン処 理による無核果では有核果と同じょうに第2 期がみられることから，この停滞は養分競合 によるのではなく，果肉細胞が関連する品種 固有の遺伝的特性によると考えられていま す。このような肥大周期の長さは品種によつ て異なり，第1期の長さは品種の早晩性に関係なくほぼ同じですが，第2期と第3期の長 さは晩生種ほど長いことが知られています。