移住労働者の就業確率と近隣効果－タイ，バンコクでの事例

摘要

人は職を探すとき，様々な人から情報を得たり，また就職情報を提供する機関や職業斡旋業者などを利用している。 これが移住労働者である場合，新しい土地に移住して職を探す際に彼（女）らはとりわけ同じ地方出身者たちから影響を受けている［例えばBanerjee 1983］。 すなわち，自分より先に移住している人々から住居や金銭面でのサポートを受け，職探しに有効な情報を得るという情報的外部性が存在し，そのことが移住労働者らの就業確率を大きく決定している可能性がある。 また，就業に関する情報などを提供する労働市場の情報インフラが整っている先進国よりも，それが整っていない開発途上国の方が同じ地方出身者たちから受ける外部効果は重要と思われる。さらにこのことは，外部性が就業率を左右することで地域労働市場の効率性に影響することを意味する。