プロッコリ一根こぶ病に対する殺菌剤の効果的な定植前土壌混和処理方法

摘要

根こぶ病はアブラナ科野菜特有の病気で，土壌中で10年以上も生存できるとされる休眠胞子で伝染する土壌病害である。香川県では，アブラナ科野菜の作付けが 少なかったことから被害の報告は限定的であつた力《，近 年，ブロッコリ一の作付面積の急激な増大とともに，深 刻な被害が発生する圃場もあり,安定的な収量を確保す るための防除対策の確立が求められていた。そのような 折に，農林水産省委託プロジュクト研究「気候変動に対 応した循環型食料生産等の確立のための技術開発低投 入、循環型食料生産の実現に向けた技術開発」事業で， 個々の圃場における発病ポテンシャル（発病のしゃすさ）の診断を基にした土壌病害管理（health-checkupbased soil-borne disease management ： rieSoDiM) (Tsushima andYosmDA, 2012)のプロッコリー根こぶ病への適用を検討する機会が得られ，導入可能な病害管理技術につい て効果の評価を行うこととなった。根こぶ病は，ァブラ ナ科野菜の種類や品種によって，その発病程度や収量に 対する影響が異なることが知られており，ブロッコリ一 やキャベツはハクサイ等に比べ，比較的収量への影響が少ないとされている。し力、し，産地において定植前にフ ルアジナムやフルスルフアミド等を成分とする土壌混和 殺菌剤を施用したにもかかわらず多大な被害が発生した との声があり，根こぶ形成と収量との関係を明らかにし たうえで，防除効果が得られなかつた原因の究明と安定 的な防除効果を得られるための条件の抽出を目的として 試験を行ったので紹介したい。なお，ここで示した定植 前の土壌混和殺菌剤とは，フルアジナム，フルスルファ ミドおよびアミスルブロムを成分とする殺菌剤に限って おり，土壌くん蒸剤は含んでいない。