残留農薬分析機器の最近の進歩--LC－MSの発展を中心に--

摘要

現在，農薬の高性能化に伴う構造の複雑化や環境問題への注目により，免疫化学測定法などの簡易、高感度な分析法や多成分一斉分析などの高速、高効率な分析法の開発が進められている。 そのような中で注目されている技術の一つが，高速液体タロマトグラフ（HPLC）と質量分析計（MS）をオンラインで接続したLC－MSである。 近年，開発、上市される新しい農薬には，熱に不安定でガスクロマトグラフ（GC）による分析の困難なものも現れ，HPLCが用いられることも多くなっている。 しかし，高活性、低薬量の農薬に対してUV検出器は感度や選択性の点で十分ではなく，より高感度な分析法が求められていた。 本稿では，高速、高感度、高選択性を有し，近年急速に普及しつつあるLC－MSについて概説する。