インスリン作用の分子機構

摘要

インスリンの第一義的な作用は脂肪組織や骨格筋での糖取り込みや，肝臓での糖放出の制御を通じて，生体での糖代謝恒常性を維持することにある。 インスリンは脂質や蛋白代謝の主要な調節ホルモンでもあり，また，細胞増殖，分化誘導作札血管拡張性の調節といった多彩な生物学的効果も有する。本稿ではこれらのインスリン作用発現にいたる細胞内情報伝達機構についての知見を概説する。