細胞接着研究の問題点

摘要

過去約十年の間に多数の接着分子がクローニングされ，細胞接着の分子樟構に関して膨大な量の知見が遺伝子，分子レベルで蓄積されてきた。 そして接着分子が個体発生，組織の形成や生体防御を始めとする多様な生理的機構の維持に関与するとともに，これらの分子の欠損や異常がさまざまな病的別犬態を生み出すことが明らかになってきた。 しかし一方では，既知の接着分子のみでは説明できない接着現象や，接着分子としての構造をもちながらその機能や生理的意義が明らかでない分子が多数存在するとともに，接着分子を介したシグナルやその調節櫻構については不明な点が多い。 ここでは，接着分子研究に関する現在の問題点について触れる。