数種水田雑草における除草剤非作用点抵抗性の分子機構に関する研究

摘要

作物収量の維持、向上においては作物と競合する雑草の防 除が不可欠であり.現代農業では除草剤を利用した雑草防除 の効率化が進められてきた。しかし除草剤が連用された結果. 除草剤に抵抗性を示す雑草個体が顕在化し，作物生産上の大 きな問題となっている。除草剤抵抗性機構は，除草剤の作用 点の変異に由来する作用点抵抗性と，除草剤の吸収，移行， 代謝などの変異に由来する非作用点抵抗性とに大別される(Powles and Yu 2010)。世界的に多く報告されているァセト乳 酸合成酵素（ALS)阻害剤およびァセチルCoA力ルボキシラー ゼ（ACCase)阻害剤に対する抵抗性では.除草剤の作用点と なる酵素（ALSおよびACCase)の1アミノ酸置換に由来する 作用点抵抗性の報告事例が多い（Kaundun2014; Yu and Powles 2014b)。一方で非作用点抵抗性については，これまで報告例 もあまり多くなく，その分子機構がほとんど明らかになって いない(D61ye 2013; Yu and Powles 2014a)o本研究では，数 種の水田雑草において非作用点抵抗性を見出すとともに.多 剤抵抗性型タイヌビエにおける非作用点抵抗性の分子機構の 一端を明らかにした。