水田雑草におけるスルホニルゥレア系除草剤抵抗性の 分子機構の解明に関する研究

摘要

雑草の除草剤抵抗性は世界的に広く報告されており，特にァセト乳酸合成酵素（ALS)を阻害する除草剤（ALS阻害剤） 抵抗性が多く報告されている（Heap 2014)。日本の水田雑草 でも1990年代半ばにALS阻害剤のスルホニルゥレア系除草 剤（SU剤）の抵抗性（SU抵抗性）が確認され始め.これ までに19種類の水田雑草でSU抵抗性個体が確認されてい る（内野2014)。 SU剤は水稲用一発処理型除草剤に含まれ る広葉雑草および多年生雑草を主に防除対象とした除草剤成 分であり.SU抵抗性は一発処理型除草剤が連用される中で 顕在化した。現在はSU抵抗性個体に有効な除草剤が数多く 市販され，除草剤の選択を間違えなければ大きな問題となら ない。しかし多くの水田雑草の種子は土中で長い寿命を保つ ため，SU抵抗性個体が出現した圃場では適切な防除を長期 にわたつて継続する必要性が生じる。SU抵抗性個体を適切 に管理するには，SU抵抗性が顕在化した理由を明らかにし， 生理機構に基づいた適切な防除対策を講じることが重要とな る。本研究では，水田雑草におけるSU抵抗性の分子機構を 明らかにし，その個体群動態も考慮してSU抵抗性の顕在化 を防ぐための適切な管理方法を検討した。