有明海，八代海沿岸の河口干潟におけるムツゴロウの分布と生息密度

摘要

ムツゴロウBoleophthalmus pectinirostrisは水陸両生のハゼ科魚類で，日本，朝鮮半島，中国本土，台湾，香港の内湾および河口の干潟に分布し（Murdy，1989；Yang et al．，2003），国内では有明海と八代海にのみ分布する（明仁ほか，2000）．主な生息場所は平坦な泥干潟で，小潮時の平均高潮位よりも低い場所に位置する（鷲尾，1992）．本種は有明海の一部で漁獲される水産有用種であると同時に，有明海，八代海沿岸の干潟生態系を象徴する種でもあり，古くから多くの人々に親しまれてきた．