マリモの球化--構造と生成過程からみた球化現象の多様性--

摘要

長いあいだ「謎」という言葉で語られることが多かったマリモの球化現象に関して，藻体が集合して形成される球体の構造と生成過程は多型的なものであることがわかった．マリモ集合の構造は．複数の藻体が叢生しながら成長して形成される「放射型」と波動などの外力によって複数の蕩体が絡み合う．「纏綿型」，および藩体が単独で放射成長する「放射浮遊糸状体」に大別される．そして，放射型には着生基質となる礫を棟として内在するものと無桟のものが．また船型には陸上植物の球果などを中心に内在するものと藻体のみからなるものが見られた．こうした集合形態の多様性は，着生基質の大小や生育場所の流動環境の違いなどによってもたらされる．集合の発達段階を踏まえ，各々について球化の素過程を推定した．